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SNS型投資詐欺グループ関係者90人の一斉逮捕
弁護士の江川剛です。
本記事のテーマ
本記事は、SNS型投資詐欺グループ関係者90人の一斉逮捕というテーマについて書いています。
弁護士・江川剛の視点
近年、SNSが悪用された投資詐欺被害が急増しており、今年(2024年)6月18日には、政府の犯罪対策閣僚会議が「国民を詐欺から守るための総合対策」を取りまとめ、特にSNS型投資・ロマンス詐欺の被害実態に注目した対策を推進していくこと等を決定しています。
この総合対策の本文は以下のURLから確認できます。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/index.html
今回の大阪府警の捜査も、このような政府あげての取組の一環なのではないかと推測します。
このグループの手口は、SNSのメッセージ機能を使って、「バイナリーオプション」と呼ばれる金融商品の取引を勧め、指導料や投資に関する情報商材の購入費名目で多額の現金を振り込ませていたというもののようですが、同様の投資詐欺でもネットワークビジネス(マルチ商法、MLMとも呼ばれる)的な仕組みを用いた手口や、暗号資産を介する手口のもの等と比べると、比較的単純な手口のようにも感じます。
今回の捜査の規模はかなり大がかりではありますが、同様な被害が多数発生していることからすると、まだまだ氷山の一角に過ぎません。このような悪質な詐欺グループに対しては、厳しい摘発が続くよう望みます。
逮捕されたのはグループでリーダー格だったとみられる山田吉彦容疑者、自称・行政書士の島内大起容疑者、人材派遣業を営む高橋昴平容疑者らのほかは、多くは20代の若者で、拠点の事務所に集まって被害者とやり取りをしていた「打ち子」と見られているとのことです。
表向きは会社組織の形態をとっていつつも、その実態は詐欺グループだった、ということではないかと考えられます。
昨今は様々な業界で人手不足の問題も深刻になっていますが、このような詐欺グループに何十人もの若者が参加して犯行に加担してしまっている実情を目の当たりにすると、こういったグループを野放しにすることによる社会的損失がいかに大きいかということにも、想到せずにはいられません。
そのような若者も自分の能力を世のため人のために使えば、世の中がより良くなるだけでなく、自分のためにもなるのになと、こういった報道に接する度に思いますが、なかなか理想どおりにはいかないのが、人間社会の宿命なのかなという気もしてしまいます。
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